コスパと性能のバランスに優れた定番シャックル

大手ロープメーカーの製品にも採用例のあるロングセラー商品です。弊社でも長年の販売実績があるほか、自社製品にもこのシャックルを使用しております。ハリヤード用として十分な強度を持ち、しかも非常にコストパフォーマンスに優れます。中腹のバー（CとDの間）は着脱出来ません。スプライス済みのロープに後から本品は通すことは出来ませんのでご注意ください）。

材質：ステンレス（AISI316）/ 鋳造

具体的な数字で見る！シャックルサイズ選び

以下は「レバーピンシャックル」「Riblineマリンロープ」「弊社取扱の各種シートストッパー」を30ftのヨットに使用した場合の例をお示ししています。各メーカーが個別に発表している製品耐荷重を用いた、個々の数字の整合性と実際の製品サイズ選びのご参考としてご活用ください。

STEP1: 現実的に想定されるハリヤードの荷重を推測する

ハリヤード向けロープの耐荷重は往々にして数トン単位の製品が主ですが、実際にそこまでの荷重がハリヤードにかかることは考えにくいものです。30ft前後の場合、想定すべき荷重は最大でも500kg程度です。これはシートストッパーでハリヤードを固定している場合、そのシートストッパーの耐荷重を根拠に推測出来ます。製品ベースの具体的な数値を後述します。

STEP2: 艤装品の対応ロープサイズからハリヤードを選定する

前項より最大想定荷重を500kgに定めた場合、ロープの破断強度はその5倍*（＝2,500kg）が望ましいと言えます。Roblineの推奨値では30ft＝10mmラインとなっており、シリウス300XGの10mmが破断強度2,800kgであるため、ちょうど最大想定荷重を少し上回る程度の強度に調整されていることがわかります。

*なぜロープの破断強度を最大想定荷重の5倍に設定するのか
Roblineの推奨する安全荷重が破断強度の20%であるため、逆に実際にかかり得る荷重をもとに計算する場合はこの5倍の強度が適切と言えるためです。また、ハリヤードの場合は耐荷重上限値付近より遥かに低い荷重領域で使用することで伸長率を低く抑えることが重要となります。本項要旨と外れるためここでは詳細を割愛致しますが、「20%ルール」の範囲内でご使用いただいた場合、一般的なポリエステルロープで伸長率は3%程度、最も伸びやすいとされるPPですら6%程度、ダイニーマに至ってはほぼ0%という低い伸長率に抑えられます。伸長率に関する詳細な考察を各種切り売りロープの販売ページに掲載致しております。

STEP3: 上記に合うシャックルサイズを選定する

STEP1,2でボートサイズ（30ft）に対するシートストッパーとロープの適合サイズと耐荷重の整合性が取れていることが確認出来ました。あとはシャックルだけです。最大想定荷重500kgの場合、シャックルの破断強度はその4倍*（＝2,000kg）が望ましいと言えます。　*4倍を想定する理由：メーカーが破断強度の25%以内での使用を推奨しておるため、逆に実際にかかり得る荷重をもとに計算する場合はこの4倍の強度が適切と言えるためです。

実数値比較

下の表はRobline社発表のボートサイズに対する推奨ハリヤード径とその強度（20%ルール適用）をベースに、3社のシートストッパーホールド力とレバーピンシャックルの破断強度を対比したものです。ロープ強度（20%）とシートストッパーのホールド力との間にはある程度の整合性が取れていることが分かります。また、ロープ強度（20%）にシャックルを合わせた場合、破断強度に対する荷重のパーセンテージは表のとおりです。30ftに6mmのシャックルでは荷重35%と「若干無茶気味」ではあるものの、慣例的に30ft艇への6mmシャックル採用はたしかにございます。40ftクラスのお船と8mmシャックルについても同様で、40ftを多少超えての採用例もございます。